コロナで旅行が難しくなってきましたね。
特に団体旅行は先が見えない状況です。
GoToトラベルキャンペーンのおかげで恩恵を受けた宿泊施設もありますが、観光産業全体ではたいへん厳しい状況が続いています。
元の状態には戻らないんだろうなぁ、とつくづく感じます。
withコロナの時代、誰もが ”新しい旅行のカタチ” を求めているのではないでしょうか。
そんな中、ここ数年、注目されているVR(バーチャル・リアリティ/仮想現実)を活用した、“VR(バーチャル)旅行” や “オンラインツアー” に1つの光が見えます。
今回は、高齢者(シニア)団体に焦点をあてて、掘り下げていきます。
この記事のテーマはこんな感じです。
- コロナでシニア団体の旅行はどう変わるか?
- 高齢者にとってのオンラインツアー・VR旅行の価値と可能性
今後、高齢者の団体旅行はどうなるのか?
高齢者団体の旅行は、今までと同じようにはいかなくなるかも知れません。
高齢者と旅行
シニア・高齢者にとって、旅行は大きな楽しみの1つです。
特に「温泉」は大人気ですね。
以下は、シニアいきいき情報局さまが実施したアンケート結果です。
質問内容:あなたが定年後・老後にしたいと思っている、すでにしている趣味について教えて下さい。【複数回答可】
出典:シニアいきいき情報局
『高齢者におすすめの趣味ランキング!これからのシニア生活を楽しもう!』より引用
旅行と答えた人がダントツで多く、シニア世代にとって、旅行はなくてはならないものと言えます。
老人会や公民館サークルなどのグループ活動の中で、温泉旅行をいちばんの楽しみにしている人も多いです。観光地やサービスエリアなどでは、日曜・平日関係なく高齢者団体のバスをよく見かけますよね。
多様化する高齢者の活動
近年、高齢者のグループ形成にも変化が出てきました。
例えば老人会に入ると、やりたくない役員にさせられたり、人間関係が難しかったり・・・
新しい会員が増えず、年々会員数が減ってきています。
逆に、趣味の合う仲間、気の知れた仲間だけで集まるようになってきました。
それも、徐々に少人数化しています。
弊社で取り扱う団体旅行の参加人数も、数年ごとに・・30人、25人、20人、15人、現在は10人前後と平均がだんだん下がってきました。
一方で、シニア世代の趣味は非常に多様化してきています。10年前では考えられなかった、多彩な種類のグループから旅行の申し込みがあります。
≫シニア世代の元気の源!グラウンド・ゴルフとスポーツツーリズム【鍵は意外にも若者?】
withコロナ時代のシニア団体旅行
このように、コロナになる前からグループが小さくなってきていて、旅行ができなくなったグループが増えてきました。
そして、コロナの時代は、感染予防にソーシャルディスタンスですから、観光バスの乗車人数も今までより制限されるわけです。
乗車人数が減れば、一人当たりのバス代が高くなります。GoToトラベルキャンペーンの期間中は安く行けますが、その後は必然的にバス旅行の単価は上がるでしょう。
これでは、コロナ以前の状態に戻そうとすること自体、的外れかも知れません。
何か違った形で需要を喚起させる必要があります。
団体旅行そのものは無くならないでしょうが、個人旅行が中心になってくることは想像できます。
マイカーでどこへでも行ける人はいいですが、そうではない高齢者はかわいそうです。
グループの旅行で、一緒に連れてってもらえたからこそ旅行ができていた人は多いのです。
だから何とかして、楽しみにしている旅行に連れてってあげたいですよね。
バーチャルが高齢者にもたらす価値
VR(仮想現実)が高齢者の旅行をどう変えていくのでしょうか。
広がるオンライン・VRコンテンツ
以前、オンラインツアーのコンテンツを紹介するTV番組を見て、その技術の進化にたいへん驚きました。
途中、お店で商品を選んで買い物ができたり、レストランの料理と同じものが実際に自宅に届いたり、疑似体験以上のものだと感じました。
このクオリティなら満足度も高く、お金を払ってでも体験したいと思います。
(ただ、こういうコンテンツは2016年頃からあったようですが・・。)
団体旅行が難しくなった今、「オンラインツアー・VR旅行」も旅行の1つの手段として選択肢になりえます。
しかも、旅行業登録が不要なので、異業種からの参入も増えてくるでしょう。
こういったVR技術は旅行に限らず、さまざまな業界で利用されはじめています。例えば、不動産・住宅業界では見たい物件をVRを利用して内見できます。他にも、医療・スポーツ・教育など、様々な分野で広がりを見せています。
高齢者にとってのオンライン・VRの価値
- 持病があっても旅行ができる(介護施設利用者なども)
- 安価なので年金暮らしでも行ける(数千円のツアーが多い)
- 集合場所までの足の心配がない(送迎不要)
- 家を空けなくて済む(連れの世話ができる)
- 医者の日でも時間を調整して行ける
- 嫌いな人と一緒に行かなくて済む
- 見学場所でバスの集合時間に遅れることがない
- 暑さ寒さを気にしなくてよいので、着るものの心配がない
これらは、単にメリットにとどまらず、旅行をするときに高齢者がいつも気をつかっていることを、網羅的に解決していることになります。
オンライン・VR旅行は、まだ高齢者にほとんど認知されてないでしょうが、これだけのメリットがあれば、きっと興味をもってくれるはずです。
ついでに、あえてデメリットを言うなら、
・旦那に夕飯を作らなければならない
くらいでしょうか。
VRに期待すること
上記のようにメリットはいろいろとありますが、物理的にかなわないこともあります。
例えば「温泉」につかることとか。
ただ、すべてリアルに近づけようとするより、VRならではの新たな価値を提供する方がいいでしょう。
それから、セキュリティの面でまだ脆弱な部分があるようですので、しっかりと整備されていくことを願っています。
H.I.Sのホームページを見ると、1,000以上もの多彩なオンラインツアーが出てきます。
余談ですが、私が旅行の仕事を目指してたころ、すでにH.I.Sは格安航空券で有名で、同時に澤田会長の名前も覚えました。スカイマークの設立やハウステンボスの再建など、たびたび驚かされています。
そんな澤田会長が本腰を入れてやっている事業ですから、このオンラインツアー・VR旅行の未来は明るいのではないでしょうか。
まとめ
高齢者の団体旅行は、コロナ前のような状態には戻らないでしょう。
しかし、オンラインツアー・VR旅行という新たな旅行カテゴリーが生まれ、それは高齢者にとっても価値あるものです。疑似体験とはいえ、世界中を旅することができるのですから。
普段、旅行に行けないお年寄りにとっては、その体験により若返ったような感覚が得られるかも知れません。
認知症予防にも期待されていますので、高齢化社会の救世主となってほしいものです。